1980年

1980年の最大の出来事は、なんといっても天才・鳥山明の出現です。『Dr.スランプ』は連載されるとたちまち大人気となり、アニメ化されて国民的な大ヒット漫画となります。あまりのヒットの速さに情報が追い付かず、当時書店に勤めていた母親は、最近ドクターなんとかいう医学書の問い合わせが多いと言っていたのを思い出します。
そして一番の衝撃は、やはりその絵の完成度の高さでしょう。一枚の絵としても、そのポップな感じとデザイン性の高さは、時代の経過にも色あせることなく現在でも人気のキャラとなっています。また漫画界的には、絵の三次元性という部分が以後に多大な影響を与えたと思います。それまでの漫画はあくまで二次元で構成されている、いわゆる日本画を根本とした絵であった(矢吹丈の髪形などがその典型)のに対し、『Dr.スランプ』のキャラたちは立体を感じさせる絵となっています。これは、連載作品の締め切りよりもプラモデル作りに精を出していたという作者のもたらした資質かもしれません。ちなみに、そのプラモデル作りで何かのも取っています。
『いずみちゃんグラフィティー』における明るいエロというのもエポックメイキングでした。それまでもエロっぽい作品(吾妻ひでも作品など)はありましたが、女性の裸がきれいな絵柄で毎週のように描かれ、そのことをあまり恥じない女性キャラというのは、男女平等運動の成果なのかもしれません。ともあれ、いわゆる萌えという感覚を想起するこの作品のように、女性キャラが活発に動き出した年でもあったように思います。

そんな1980年に連載され、このサイトで紹介している作品の中から漫画史的に重要な作品、単純に面白いと思う10作品を選びました。

第1位 Dr.スランプ …少年漫画の天才の登場!

第2位 あした天気になあれ …巨匠のリアルなゴルフ漫画。

第3位 激!!極虎一家 …刑務所が舞台でヤクザが主人公という現代ではありえない漫画!

第4位 3年奇面組 …頭身を自在に変えるキャラの元祖的作品。

第5位 さすがの猿飛 …サンデーを中心としたアニメテイスト漫画の代表作。

第6位 ああ一郎 …愚直な主人公キャラの魅力。

第7位 プロレス スーパースター列伝 …当時の読者は全部事実だと思っていたものだ(談)

第8位 いずみちゃんグラフィティー …少年誌に明るいエロを導入した画期的作品。

第9位 マグ&ヨーコ …貧乏姉弟のギャグ漫画。

第10位 ただいま授業中 …女性教師が主人公というのが新鮮。