1983年

この年は、『バツ&テリー』と『バリバリ伝説』に注目です。不良がスポーツをやるという、後に数知れず生産されることになる作品群の原点ともいえるのが『バツ&テリー』です。試合の勝ち負けだけではなく、試合以外のシーンを面白くする要素が不良という部分であり、試合とケンカで二毛作ができる抜群な設定なので後々多産されるのも納得です。『バリバリ伝説』は、これも不良が主人公で、不良の憧れのアイテムであるバイクを題材にした作品。暴走族よろしく公道で競争する不良テイストだったが、時代の要請で普通のバイクレースになっていってしまう。しかしマガジンは、この2作品に代表されるように、不良(いまのヤンキー)の世界を描く作品を多産していきます。少年誌ということから健全さが求められる中、不良漫画という鉱脈を発見し、学校のちょいワル(本当に悪い奴は漫画なんか読まない)が読む漫画雑誌という地位を確立してマガジン色を強くしていきます。
ジャンプでは『北斗の拳』が連載を開始します。こちらも健全さとは程遠い内容となっており、少年ジャンプで連載されていたとは信じられない残酷な死に方が、手抜かりのない緻密な絵で描かれています。現在の目で見ると驚くのは、そういった描写だけでなく、物語展開の速さという所にもあると思います。国民的大ヒット漫画になったこの作品ですが、巻数にするとたった27巻です。もちろん凄い巻数なのですが、現在の感覚でいうと50巻以上出ているような人気と展開があったような気がしてしまいます。総じて昔の漫画は、出し惜しみすることなくバンバン進めていくという印象があります。

そんな1983年に連載され、このサイトで紹介している作品の中から漫画史的に重要な作品、単純に面白いと思う10作品を選びました。

第1位 北斗の拳 …速い展開と残酷な描写によって国民的な大ヒットをした世紀末救世主漫画。

第2位 炎の転校生 …ストーリー漫画の絵柄とキャラで、極めて真面目にギャグをするという斬新なギャグ漫画。

第3位 大甲子園 …作者のキャラ大集合の集大成甲子園大会を描いた野球漫画。と思いきや、本当の集大成はまだだった。

第4位 バツ&テリー …野球とケンカの二毛作を展開した不良野球漫画の元祖的作品。

第5位 バリバリ伝説 …バイクのスピード感を見事に漫画化しているバイク漫画の金字塔。

第6位 シェイプアップ乱 …「もっこり」という言葉を生み出したというだけで漫画史に残るギャグ漫画。

第7位 県立地球防衛軍 …サンデーっぽいといわれるアニメテイスト漫画の代表作。

第8位 やるっきゃ騎士 …出てくる女性キャラがほとんど服を着ていないという男子の妄想を具現化したエロコメ。

第9位 ウイングマン …実写ヒーローを漫画にするという、石ノ森正太郎を引き継ぐヒーロー漫画。

第10位 ボギー THE GREAT …破天荒な刑事が主人公の刑事コメディ漫画。