男一匹ガキ大将

作者 本宮ひろ志
掲載誌週刊少年ジャンプ
掲載期間1968年11号~1971年52号
1972年31号~1973年13号
話数全160話
巻数全20巻
設定★★★
キャラ ★★★★★
ネーム★★★★
画力★★★

『わしはけんかしかできん男なんかい!! けんかしかよおおっ』

作品解説

戸川万吉は手のつけられない暴れん坊だったが、その強い正義感で村に来た強盗たちを捕まえたりもした。その功績もあって調子に乗る万吉を、寺の和尚はきつく戒める。そこで心身ともに成長した万吉は、ケンカに強いだけではなく、人間的にもひとまわり大きい男となる。そんな万吉の元には、舎弟になりたいもの、対戦を熱望するものなど多くの男たちが訪れ、次第に万吉一家といわれるような大勢の仲間とともに行動するようになっていく。
作者が逃亡してしまった『父の魂』の穴埋め的に始まったのだが、その後、初期ジャンプを支えることになる人気漫画。初期のころは、絵的にはちばてつや、内容的には宮本武蔵の影響がかなり強いが、そこから次第と本宮節が確立されていく。人気の元でもあった、この本宮節とは具体的にはどういったことなのか。まず、主人公が関西弁でしゃべるというところ。少年漫画の主人公は基本的に標準語でしゃべるのがあたりまえだった時代に、関西弁でまくし立てる万吉は、新鮮であり迫力があったと同時に親近感も生む効果があった。そして次に、迫力のある演出。しかしこれは、作者の絵に対する執着のなさが生んだ副産物だったといえる。作者自身も言っているが、絵に関しては上手とはいえないし、そもそもことさら絵が好きではないということである。根本的に絵を描くことが好きな他の漫画家が「描きたがる」ところを、本宮ひろ志は「なるべく描かない」という別ベクトルに進んだ結果、面倒くさいという理由で背景が効果線だけになり、なるべく点数を描かなくて済むようにコマの大きさがどんどん大きくなっていったのではないだろうか。そしてそれこそが、それまでの漫画とは違う迫力があるといわれた本宮節というものになっていった。大げさに言えば、それまで絵描き職人のものであった漫画という世界に、ビジネスとしてのマンガという価値観を植えつけた作品であるといえるかもしれない。作者のデビュー作。
記念すべきジャンプ・コミックスの最初の作品のうちの一つ(ナンバーとしては2番目にあたる)。背表紙のジャンプマークや青地に集英社など、基本的なデザインは現在のジャンプ・コミックスにも受け継がれており、カバー裏の作者コメントも変わっていない。最後には作品に対する著名人のコメントがのっており、この作品ではなんと勝新太郎がコメントしている。

関連作品連想作品ハリスの旋風
前作次作武蔵
デラックス版 文庫版
全12巻 全7巻